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コラム

2024.02.24
定額減税とは?税の専門家が詳しく解説!

はじめに

今回も税制体制大綱で発表された定額減税について細かく解説していきます。

前回のコラムをまだお読みになっていない方はこちらよりご覧ください!

>>税制改正大綱の定額減税について

国税庁の定額減税特設サイト

国税庁は令和6年1月19日にホームページにおいて、定額減税の概要を掲載し、1月30日には定額減税特設サイトを開設しました。しかし、掲載されたパンフレットは「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分の所得税の定額減税のしかた」のみであり、Q&Aは準備中ということで見切り発車の様が感じられます。と言いますのも、住民税の定額減税は令和6年1月29日に総務省のホームページにおいて、「個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集(第1版)」が公表されたところです。今後は両者が共に歩み寄りながら、情報を更新していくものと思われますが、今回も現場の立場として、前回のブログに今回公開された情報を引用して再度説明していきます。

前回で強調していたのは、16歳未満の扶養親族が申告漏れであった場合に、漏れた扶養親族に係る定額減税が計算されないといった指摘です。この対応については、国税庁のパンフレットの中の「扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者等に係る申告」に掲載されていました。本文には、扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族については、最初の月次減税事務を行う時までに、控除対象者から「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出を受けることで月次減税額の計算のための人数に含めることができます。と、あります。

 しかし、これはやめた方が良いです。理由は、実務としては扶養控除等申告書の訂正を行うようになりますので、新たに別の申告書を作成する必要はなく、かえって混乱を招きます。他でも4月から就職をした子は、扶養控除及び減税人数を削減する場合があり、今までと同様に扶養控除等申告書を運用し、非居住者を外して、減税人数を把握します。

 何よりも、国税庁のパンフレットでは令和6年分の所得税の定額減税について掲載していてそれは当然のことのようで、実は前述の件を含めて大間違いがあります。後に公開されると思われますが、先ずは、これが優先されるべきでしょう。前回のコラムを読まれた方は、もうお解りですね。給与支払報告書に記載漏れとなった16歳未満の扶養親族の対応です。また、現在は令和5年分の確定申告書の提出を受け付けていますが、ここでも16歳未満の扶養親族の記載が令和6年度の個人住民税の定額減税の計算になるところを、今回もスルーされました。当事務所では、今回の確定申告の際に、新たな説明として、あなたの住民税の減税はこうなる、次の所得税の減税はこうなるとお話しさせていただいています。外部団体にも注意を呼びかけたりもしますが、人によって反応は様々です。今回のコラムも注目されないだろうなと思いながら、でき得る限り、上手に定額減税が行き届きますようにの想いでいます。

Q&A集からの注意点

 続いて、「個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集(第1版)」から独断による注目点を上げてみます。

個人住民税の定額減税(案)に係るQ&A集(第1版)

1.個人住民税の定額減税の対象者にならない者

 ・前年(所得税でいう令和5年分)の合計所得金額が1,805万円を超える者

 ・前年の合計所得金額が所得割の非課税限度額以下である者

 ・所得控除により課税総所得金額等がゼロとなる者

 ・税額控除により定額減税前に所得割がゼロとなる者

2.令和6年分の所得税を所得税の減税額が上回る場合には、給付金により対応する。

3.控除対象配偶者以外の同一生計配偶者に係る個人住民税の減税は、令和7年度分の個人住民税から定額減税を行う

1.個人住民税の定額減税の対象者にならない者について

まず、1.は高額所得者や税金がゼロの者は減税を計算しないといった内容になります。

2.令和6年分の所得税を所得税の減税額が上回る場合には、給付金により対応する。について

2.は、当初は所得税の減税未済額を翌年度の住民税から控除するようでしたが、給付金を支給するとあります。所得税の減税額3万円を所得税の税率5%で割ると60万円になりますので、年収が103万円超、163万円未満の者は、所得税はゼロの計算になり、控除額によって金額は変わっても控除未済額が給付金の予定になります。控除未済金額は年末調整で明確になり、源泉徴収票の摘要欄に記載されますが、給付金手続にマイナンバーが必須になるのか、源泉徴収義務者に負担を強いるのか、今後の公開を待つことになります。

3.控除対象配偶者以外の同一生計配偶者に係る個人住民税の減税は、令和7年度分の個人住民税から定額減税を行うについて

 3.は私としては一番の大問題として見ています。よもや、こうなるとは想定外でした。本来なら制度上の問題であり、これは官庁の都合でこうなったと言えます。記載されている理由は、令和5年末時点の「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者」の情報は、納税義務者からの申告がない限り補足できないため、令和6年度分の個人住民税において全ての対象者を把握し定額減税を行うことは、事実上、困難であるとして、令和6年分の源泉徴収票の摘要欄に記載することで、令和7年度の個人住民税から定額減税を行うことになります。これは、納税義務者本人の合計所得金額が1,000万円超で、かつ、配偶者の合計所得金額が48万円以下の者のことです。該当者は所得制限を超えると配偶者控除を計算できないために、源泉徴収票において、配偶者の名前等を記載されません。対して、16歳未満の扶養親族は控除できなくても記載することはできる(今までは記載しても意味が無くても今回は定額減税の対象になる)わけですから、記載が無ければ減税の対象にしないで、税額が計算される理屈になります。さらに、例えば令和5年分は900万円、令和6年分は1020万円の合計所得金額だと、令和5年分は配偶者控除の計算ができて,令和6年分は配偶者控除の計算ができないことになります。配偶者に係る定額減税の計算は令和6年度の個人住民税で1万円、令和6年分の所得税で3万円、令和7年度の個人住民税で1万円の計算になり、合計5万円になるわけですが、逆のケースでは個人住民税の定額減税はゼロになり、所得税の3万円のみになりますが、「定額減税の対象者や減税額の算定にあたっては、令和6年度・令和7年度それぞれの年度ごとで、納税義務者やその配偶者等の前年の合計所得金額や国内居住の有無等により判断するため、2年間とも適用を受けられる場合は生じ得る。」と明記されています。私個人としてはかなり衝撃的な内容でした。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今後も引き続き定額減税に関する情報は公開されてくると思います。もし定額減税含め経理に関するご相談がある方はお気軽にこちらからお問い合わせください。

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